私はこれまで、韓国美容医療の現場で、日本人のお客様の相談、病院予約、カウンセリング同行、帰国後の連絡を支えてきました。
美容医療の相談実務について学び、現場で経験を重ね、『皮膚科相談実務』という本も書きました。
そのため、
「写真を見れば、どの施術が合うか分かりますか?」
「長く美容医療の仕事をしているなら、病院へ行く前に決められますよね?」
と聞かれることがあります。
しかし、私が今も最優先にしているのは、私自身の経験ではありません。
医師が実際の状態を確認して診察することです。
経験があるからこそ、写真や短いLINE相談だけでは決められないことが多いと感じています。
相談経験が増えるほど、簡単に答えられなくなった
美容医療の仕事を始めた頃は、多くの知識を身につければ、お客様の質問に早く正確に答えられるようになると思っていました。
もちろん、施術の基本的な特徴、料金の仕組み、ダウンタイム、病院ごとの流れを知ることは大切です。
しかし、実際の現場で多くのお客様と接するうちに分かったことがあります。
同じ言葉で相談していても、実際に気になっている状態や希望する変化は、一人ひとり異なるということです。
例えば、
シミを取りたいです。
という相談だけでも、お客様が気にしているものは同じではありません。
・一つだけ濃く見える部分
・頬全体に広がる薄い色素
・以前の施術後に残った色
・そばかすのように見えるもの
・本人はシミだと思っている別の状態
など、さまざまな可能性があります。
どのような状態なのか、どの施術が適しているのかを診断するのは医師です。
JMJが写真だけを見て、
「これは〇〇です」
「このレーザーを受ければよいです」
と決めることはできません。
お客様の言葉と、医療的な判断は別です
お客様がLINEで伝える言葉は、診断名ではありません。
例えば、
「顔がたるんできた」
「毛穴が開いている」
「肝斑だと思う」
「脂肪が多い」
という表現は、お客様自身が感じているお悩みです。
この言葉は、相談を始めるための大切な情報です。
しかし、そのまま医療的な判断になるわけではありません。
「たるみが気になる」という相談でも、医師は実際の状態を見ながら、皮膚、脂肪、筋肉、顔全体のバランスなどを確認します。
「シミを取りたい」という相談でも、状態によって治療方法や注意点が異なる場合があります。
JMJが行うのは、お客様の言葉を診断名に変えることではありません。
どこが気になるのか、どのような変化を望んでいるのかを整理して、医師へ伝えやすい状態にすることです。
写真相談だけでは確認できないこと
LINEで送っていただく写真は、お悩みの部位や大まかな範囲を把握する参考になります。
しかし、写真だけでは確認できないことも多くあります。
・実際の肌の色や質感
・皮膚を触った時の状態
・表情を動かした時の変化
・左右差
・光や角度による見え方
・過去の施術の影響
・本人が最も気にしている部分
・医師が診察で確認する医学的な情報
写真の照明やスマートフォンの補正によって、実際より明るく見えたり、色素が濃く見えたりすることもあります。
正面写真だけでは分からなかった状態が、横から見た時や表情を動かした時に分かることもあります。
そのため、写真は診察の代わりではありません。
事前相談を進めるための資料として使用し、最終的な判断は医師の診察後に行います。
事前に希望した施術が、診察後に変わることもある
お客様がSNSや口コミを見て、特定の施術を希望されることがあります。
例えば、
・ウルセラを受けたい
・サーマクールを受けたい
・リジュランを受けたい
・シミ取りレーザーを受けたい
・ボトックスを受けたい
というご希望です。
希望する施術を事前に伝えることは問題ありません。
ただし、診察後に別の施術が提案されたり、今回は希望した施術を受けない方がよいと説明されたりすることもあります。
そのような場合に大切なのは、希望を無視することでも、医師の提案を無条件で受け入れることでもありません。
次の内容を確認します。
・希望した施術が適さない理由
・代わりに提案された施術の目的
・最初の施術との違い
・料金
・ダウンタイム
・所要時間
・今日決める必要があるか
診察によって内容が変わることはあります。
しかし、理由を理解できないまま施術へ進む必要はありません。
私が考える「相談実務」とは
相談実務とは、お客様に施術名を教えることだけではありません。
また、病院の説明をそのまま日本語へ訳すことだけでもありません。
私が現場で大切にしている相談実務には、次のような役割があります。
1.お客様が本当に気にしていることを整理する
「若くなりたい」
「自然にしたい」
「全部きれいにしたい」
という言葉だけでは、希望する変化が十分に伝わらないことがあります。
・どの部分が最も気になるのか
・どの程度の変化を希望するのか
・周囲に気づかれたくないのか
・一度で大きく変えたいのか
・少しずつ整えたいのか
を確認します。
2.施術以外の条件も整理する
美容医療では、施術の特徴だけでなく、次の条件も重要です。
・全体の予算
・許容できるダウンタイム
・入国日と出国日
・帰国後の仕事や行事
・必ず病院を出なければならない時間
・過去に受けた施術
・避けたいこと
医療的に選択肢となる施術であっても、予算や旅行日程に合わない場合があります。
その違いを整理することも、相談実務の一部です。
3.病院の説明を判断できる形に整理する
病院から複数の施術を提案された時、施術名だけを並べられても、お客様は違いを判断しにくいことがあります。
そのため、次のように整理します。
・何を目的とする施術か
・どの部位へ行うのか
・最初の希望との違い
・最終金額
・ダウンタイム
・所要時間
・一度で終わるのか、継続が必要なのか
ただし、どの施術を受けるべきかをJMJが決めるわけではありません。
医師の説明を、お客様が自分の条件と照らし合わせて考えられるようにします。
経験があることと、診断できることは違う
長く現場にいると、似た相談や似た状況に出会うことがあります。
「以前のお客様も同じように見えた」
「このような相談では、この施術が提案されることが多かった」
という経験は、相談の準備には役立ちます。
しかし、以前のお客様と今回のお客様は別の人です。
年齢、肌の状態、既往歴、過去の施術、服用している薬、希望する変化、予算も異なります。
過去の事例を、そのまま目の前のお客様へ当てはめることはできません。
経験が多いことは、医師の代わりに判断できるという意味ではありません。
むしろ、経験が増えるほど、
「似て見えても同じとは限らない」
「確認せずに決めてはいけない」
と考えるようになりました。
JMJが事前相談で確認できること
医師の診察前でも、準備できることはあります。
JMJでは、詳しい相談や同行サポートをご希望のお客様に、次のような内容を確認します。
・今回最も気になるお悩み
・気になる部位
・希望する変化
・受けたい施術の有無
・全体の予算
・入国日と出国日
・許容できるダウンタイム
・帰国後の予定
・過去に受けた関連施術
・必ず病院を出たい時間
これらは診断をするための質問ではありません。
病院での限られた時間の中で、お客様の希望や条件が抜けないように整理するためのものです。
JMJが事前に決めないこと
一方で、次の内容はJMJが決めることではありません。
・診断名
・施術の適応
・治療が必要かどうか
・使用する機器
・必要なショット数
・薬剤の種類や容量
・薬の処方
・医療的な優先順位
これらは医師が診察した上で説明する内容です。
JMJが特定の施術を紹介する場合も、それがそのお客様に適していると診断したわけではありません。
施術の一般的な特徴や病院の案内を伝え、最終的には診察を受けて確認していただきます。
相談・診察・決定を分けて考える
美容医療では、次の4つを分けて考えることが大切です。
1.お客様の希望
どこが気になり、どのような変化を望んでいるのか。
2.JMJによる情報整理
予算、旅行日程、ダウンタイム、過去の施術など、相談に必要な条件を整理します。
3.病院からの説明
施術内容、料金、時間、注意事項、選択肢について説明を受けます。
4.医師の判断とお客様の決定
医師が状態を診察し、施術の適応や治療方法を判断します。
その説明を受けた上で、実際に施術を受けるかどうかはお客様ご本人が決めます。
この4つを混同すると、
「JMJがこの施術を決めた」
「病院から提案されたので必ず受けなければならない」
という誤解が生まれる可能性があります。
医師の診察があっても、質問してよい
医師の説明は専門的で、短い時間に多くの情報が伝えられることがあります。
分からない部分があれば、そのままにせず確認しましょう。
例えば、
なぜこの施術が必要ですか?
私が希望した施術との違いは何ですか?
一つだけ受けるなら、どれを優先しますか?
今回と次回に分けることはできますか?
この施術を受けない場合、どのような選択肢がありますか?
ダウンタイムは私の予定に影響しますか?
診察を受けることは、医師の提案をすべて受け入れることではありません。
説明を聞き、理解した上で選ぶための時間です。
なぜ私は「すぐにおすすめ」を出さないのか
お客様から見ると、すぐに病院や施術を教えてくれる方が親切に感じられるかもしれません。
しかし、年齢や写真だけを見て、
「50代ならこの施術です」
「このシミならこの病院です」
「たるみには必ずこの機器です」
と決めることはできません。
JMJが先に確認したいのは、施術名ではなく次の内容です。
・どの部分が最も気になるか
・どのような変化を希望しているか
・予算はいくらか
・ダウンタイムをどこまで許容できるか
・旅行中にどの程度の時間があるか
・医師の説明を聞いた後に選びたいか
おすすめを急ぐより、判断に必要な条件を整理する方が、結果的に納得できる選択につながると考えています。
本を書いたことより、現場で守りたいこと
本を書くためには、知識や経験を整理し、言葉にする必要があります。
その過程で、相談する側が何を聞き、どのように伝えるべきかを改めて考えることができました。
しかし、本を書いたことが医師の診察より優先されることはありません。
書籍にまとめられるのは、相談の考え方や実務です。
目の前のお客様の状態を診断し、施術の適応を判断することではありません。
私が書籍や16年間の経験を通して得たものは、
「何でも答えられる自信」
ではなく、
「どこまでが自分の役割で、どこからが医師の判断なのかを区別する基準」
です。
お客様に事前に整理していただきたいこと
施術名を完全に決める必要はありません。
病院へ行く前に、次の内容を考えてみてください。
□ 今回一番相談したいお悩み
□ 気になる部位
□ 希望する変化の程度
□ 全体の予算
□ 許容できる赤みや腫れ
□ 帰国後の仕事や大切な予定
□ 過去に受けた施術
□ 医師に確認したい質問
□ 必ず病院を出たい時間
□ 提案を聞いてから決めたいこと
この情報が整理されていれば、施術名が決まっていなくても相談を始められます。
JMJが大切にしていること
JMJは、お客様の代わりに医療判断をする会社ではありません。
また、決められた病院や施術を一方的に勧めることを目的としていません。
私たちが大切にしているのは、
・お客様のお悩みと条件を整理する
・病院へ正確に伝える
・医師の説明を理解できているか確認する
・事前案内と当日の提案に違いがあれば確認する
・料金、時間、ダウンタイムを整理する
・お客様が納得して決められる状態をつくる
ことです。
JMJが何を重要に見ているのかは、これからも公開していきます。
一方で、病院ごとの具体的な調整方法や、現場でどのような順序で確認するかは、JMJの内部基準として管理します。
まとめ
私は、美容医療相談の実務について学び、現場で経験を重ね、『皮膚科相談実務』という本を書きました。
それでも、現在の状態を写真やLINEだけで判断することはありません。
その理由は、次のとおりです。
1.同じお悩みでも実際の状態は異なる
2.写真だけでは確認できないことがある
3.過去の事例をそのまま当てはめることはできない
4.診断と施術の適応は医師が判断する
5.お客様の予算や旅行日程も選択に関係する
6.説明を理解した上で、最終的にはお客様が決める
経験があるからこそ、判断を急がないことを大切にしています。
JMJの役割は、医師の代わりに施術を決めることではありません。
お客様の希望と条件を整理し、医師の診察と説明を受けた上で、ご自身が納得して選べる状態を整えることです。
※JMJは医療機関ではありません。診断、施術の適応、治療方法、薬の処方などの医療的判断は、医師および医療機関が行います。
